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心理学的には、強烈な感情を抱いたり生理的に刺激を受けしたりすると、まともに思考できなくなることはよく知られています。多くの理論は、不安が精神的リソースを消費したり潜在的恐怖へ集中するということでこの現象を説明しています。しかし、バルセロナ自治大学の1チームは、強烈な状況の誘発性(彼らはそう呼んでいます)に対して、これまで十分な考察がなされていないと信じています。この誘発性とは、当人が強烈な経験を肯定的に考えているか否定的に考えているかです。これが違いをうむかどうかはっきりさせるために、Judit Castellaと彼女の同僚は、バンジージャンプする人(ほとんどが初めて)を12人集めて3回テストを行いました。15メートルのフリーフォール直前30分、フリーフォール直後、そして8分後です。

Cognition and Emotionで驚くべき発見が報告されました。その報告では、強烈な体験は肯定的に知覚され、認知能力を向上させるかもしれないと示しています。「文献で報告されていたような強い刺激に対する否定的な影響が小さくなるかもしれないとは思っていましたが、向上するということは考えてもいませんでした。」研究者はこう言いました。

カタロニアにある30メートルの高さの橋で行われた3回のテストで、バンジージャンプする人たちは彼らがどう感じたか、そしてその感情の度合いに点数をつけました。また、ワーキングメモリのテスト(数桁の数字を思い出すこと)、集中と注意のテスト(Go/No Goテストとして知られている)、そして決定力テスト(決められた時間内で、4つのカードのデッキのなかでどれが一番得点が高いかを特定する)すべてを行いました。その結果は、バンジージャンプをしなかったこと以外は同条件の同年齢で構成されたグループと比較されました。

もちろん、バンジージャンプしたグループはしなかったグループよりも強い感情を報告しました。重要なのは、彼らが特にジャンプした後に感情をかなり肯定的に評価したということです。さらに、ワーキングメモリがジャンプ後に向上したそうです。これはジャンプしなかったグループでは見られませんでした。決定力も向上していました。注意力テストには影響がなかったそうです。つまり、バンジージャンプは、強烈な感情的経験だと知覚されながらも、認知能力を損ねることなく、むしろ向上させたということです。

Castellaと彼女の同僚は、この発見を「拡張と建設理論」という観点で解釈しています。この考えは、肯定的な感情は認知機能をより柔軟にし、否定的な感情の思考を「狭める」影響を打ち消す可能性があるというものです。もちろんこの結果はこの実験だけから得られたものなので、この結果は検証や拡張をされる必要があります。しかしながら、研究者は、プロが非常事態で緊急の決断を下さなければならないという訓練に実用的な意義を見出しています。「緊急時に肯定的な感情を高め、集中することができればとっさの判断がよいものになるかもしれません。少なくとも悪くなることはないでしょう。」

Jump and free fall! Memory, attention, and decision-making processes in an extreme sport
元記事:
https://digest.bps.org.uk/2019/06/05/bungee-jumpers-cognition-enhanced-after-a-jump-a-finding-with-implications-for-professionals-who-have-to-make-decisions-in-intense-situations/#more-37281